2020.09.09
第2章64度目の渡英で実地研修再開へ
2011年7月末に日本を発った。この一年余で実に4回目の渡英だ。わざわざバーミンガムから出迎えに来てくれた田中君とロンドンのユーストン駅で4か月振りの再会をし、列車の中でHISの現状や実地研修の段取りやらを話しながらHIS hairに向かった。
今回はエンドレスの滞在になる可能性もあったのでクリニックの狭い割には割高の客室を避け、近場の宿を田中君に探してもらっておいた。クリニックから徒歩20分位のところのビジネスホテルを手配してくれていたのだが彼の交渉力で¥2,500/日の破格料金だった。築150年のボロホテルで水漏れやらボイラーの故障で湯が出ないとかトラブル続きだったが部屋が広いのと簡素ながら朝食も付いていたし何より寝に戻るだけなので何の文句も無かった。加えて日本からのモニターさん達も渡英予定に合わせて滞在出来るよう全て事前に手配済みだった。そして驚いた事に彼はこのホテルで週に何回かフロントの夜勤業務にも携っていた。昼はHIS hairで事務をこなし、時間が空いた日の夜は夜勤に充てていたのだ。私が行った時点で彼は既にホテルスタッフの一員と化していてオーナーの好意で我々の宿泊料金も安くして貰えたのだった。
その勤労振りもさることながら人や組織に上手く溶け込める適応力や人間性、こちらの細かなニーズも察知して手際良く段取り、対処出来る彼の頭の良さに私はこの研修期間中ずっと助けられていた。通訳者としては勿論の事、私の研修スケジュールの管理、モニターさん達のアテンド、HIS イアン達との折衝業務等々、ある意味私のマネージャーとしてあらゆるサポートをしてくれた。彼の様な人物とたまたま出会えたのは本当に幸運だったし彼との巡り会いには感謝しか無かった。物事が上手く進む過程に於いてはこういうキーとなる登場人物が不思議とタイムリーに現れてくるものだ。田中君に限らず今のSPJのスタッフ達も正にそうだし人との巡り会いこそある意味人生の全てではないかとさえ思う事がある。
徒歩で毎日約20分ホテルとクリニックを往復した。8月でもバーミンガムは最高気温が20度少々、最低気温は15度程度だから道中は薄手のジャンバーでも羽織らないと寒かった。初めてHIS hairのサイトを見たのが去年の4月。そこから施術を受け、そしてその技法に惹きつけられた結果、遠く日本から離れたこのバーミンガム郊外の住宅街を日夜トボトボ歩いているという現実が私に何とも言えない不思議な感覚を抱かせていた。病葉の様に水脈に身を委ねてくねくねと独り流されて行く自由感、またそこから派生するある意味心地の良い孤独感とでも言おうか、とにかく今思い起こしても甘美で楽しい時間だった。ああいう感覚を抱いて日々過ごせる事はこの先の自身の人生に於いてもう無いんだろうなとも思う。業務の開始は9時だったが毎日8時には到着しクリニックの清掃を行った。誰に言われた訳でも無いが唯一外様の私を受け入れてくれたHIS hairイアンや他のスタッフに対する感謝の意を持ってしての事だった。日本からモニターさん達が来るまでの1週間は例によって各スタッフの施術のサポートをして過ごしたが前回同様出来るだけ香港支店のジョン氏に付いて数多く実際に打たせて貰ったおかげで良いウォーミングアップが出来ていた。
休日は天気が良ければ田中君とクリニックの裏庭で洗濯をしつつ
ぶらり運河スポットに出かけてバーで一杯飲りもした。
運河沿いには色んな店が有り時折スタッフのみんなと連れ立って食事に行った。下はイアン、ランビア、香港支店のジョン、スタッフのポール達との食事会。